[about a ROOM] 個性豊かなジョイ・メーカー!8/20に開催された『IMPULSE vol.22』@新宿Marbleでのライブをレポート

 誰が呼んだか、台風が3つも日本に接近した8月20日(土)。新宿Marbleでは、どんたく pre. 『IMPULSE vol.22』が開催された。福岡や大阪などの主要6都市を跨いで行われるイベントで、各日程とも豪華な面々が顔を並べる。台風にも負けない勢いで福岡から舞い降りたバンド、それこそ“about a ROOM”である。

場内に響き渡るSEから、すでに何かが起こりそうな予感がしていた。規則性のないリズムと宇宙空間のようなイコライジングで構成された曲は、人々の心をざわつかせる。拍手とともに登場した彼らの表情には、決意と不安が混じっているように見えた。各々で神経統一すると、それを確認し吉原(vo.)が「福岡から来ました。about a ROOMと申します!」と声をあげる。さあ、極上のエンターテイメントのスタートだ。 

吉原の「せーの!」という掛け声を合図に、一気に音の波が押し寄せる。オープニングを飾ったのは、今回発売されたアルバムでも導入曲となっている『ふーふー』だ。先ほどの不安は、どこへ消えたのか。彼らの顔にはすでに笑みが浮かび、楽しげに歌詞を口ずさんでいる。表情豊かに歌う吉原の姿は魅力的で、人々の視線を惹きつけた。中間部のジャッジャッジャッという決めも気持ちよく決まり、グルーヴの良さを魅せつける。

勢いは加速したまま、谷(Gt.)のカッティングがクールな『catch me if you can』へとつないでいく。先ほどの少年っぽさ満点な曲調とは裏腹な艶っぽい曲で、吉原の色気が存分に発揮されていた。そのセクシーさを増幅させていたのは、松下(Ba.)のベースラインやなぁきしゅん(Dr.)のリズムであろう。あのビート感は、おこちゃまには再現できない。随所に散りばめられた洒落たフィルたちが、曲を大人っぽくまとめあげる。  

MCを挟み演奏したのは、吉原が好きだという“ドラゴンクエスト4”をイメージして作られた『CONTINUE?』。サイケデリックなギターソロで始まる曲で、まさしくRPGゲームの序章といった雰囲気だ。16ビートの勢いがすさまじく、衝動のままに過ぎ去っていく。舞台上でギターやベースを持ち、暴れ狂う彼らの姿は最高にファンキーだ。

「女の子には残念な曲をやります。」という紹介で始まったのは、キラーチューンの『ハローハロー』である。男性からすると思わず「あるある」と頷いてしまう最低な歌詞は、最高にキャッチーなメロディーで昇華されているので憎たらしい。about a ROOMお得意のおふざけソングを、吉原は口角をにやりとあげ歌いあげる。女性からすると腹立たしい歌詞のはずなのだが、観客のシンデレラたちがにこやかに聞いている姿がとても印象的だった。ハイトーンを活かしたメロディックなギターソロが、曲をキュッと引き締める。

続く『プルースト』は、シンバルの4つ打ちにより導かれた。息のあったコーラスで幕開けすると共に、空気は80年代にタイムスリップ。4畳半の畳部屋にあるラジオから流れてきそうな歌謡曲を彷彿するサウンドに、吉原の声がよく映える。目を見開き「今日が終わるよ!」と歌い叫ぶ姿は、狂気じみた何かを感じ、心臓を素手でつかまれたような感覚に陥った。 

全身全霊のパフォーマンスは、MCにも影響を及ぼした。吉原は肩で息をしつつ、今回の『IMPULSE』ツアーを振り返る。「なんでバンドを続けているのだろう。」と見つめ直すきっかけになったという同イベントは、人との繋がりを強く実感した旅になったと語った。「約束する、またここに帰ってくることを。約束する、またここに戻ってくることを。」そう話す吉原の言葉に嘘・偽りがないことを、ラストの曲で十分すぎるくらいに証明した。 

最後の曲となったのは、アルバムのリード曲でもある『燃え尽きるその日まで』。少し早口の歌詞の中には、たくさんの思いが詰まっていることが吉原の表情からうかがえる。一人一人の目をのぞき込み語り掛けるように歌う姿は、どこまでも優しい。みんなでアイコンタクトを取りつつ楽しそうに演奏している彼らには、“音楽をしている”という言葉がピタリとはまる。汗を垂らしながらも「ねぇ、今僕らが…」と歌うメンバーの声には届けようという気持ちが溢れていて、思わず鳥肌が立った。「まだ闘えるよ、まだ歌えるよ。」という決意と約束を残し、彼らはステージを後にしたのだ。 

見た目も性格もバラバラな個性豊かな4人組“about a ROOM”。しかし、彼らには「より多くの笑顔を見たい」という共通の思いが通っている。だからこそ、人々を楽しませるバラエティに富んだ曲や、全力のパフォーマンスができるのだろう。優しさと情熱を兼ね備えた彼らが、大きなステージで最高のエンターテイメントを提供してくれる日も遠くない。

text by 坂井 彩花
photo by 山本 将太朗


坂井 彩花
元楽器屋のお姉さんという経歴を持つフリーの音楽ライターで24歳。岡村詩野に師事。『wwsチャンネル』等で執筆。『素敵』が届く文章を心がけている。
Twitter: @ayach___
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山本 将太朗
1994年2月17日生 神奈川県在住 静岡県御殿場市出身
某大学卒業後社会人へ。プロカメラマンを目標に日々撮影をしています。作家でありカメラマン、バックパッカーである高橋歩、父の影響によりカメラへの興味を持つ。大学では経済学を専攻、軽音部に所属。写真撮影以外にもドラム、カホン等の演奏も行う。
Twitter: @shamtarow


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カドデ / KADODE

アーティストの"門出"をサポートする音楽レーベル。 拠点: 福岡市 所属アーティスト: about a ROOM